2017年10月24日火曜日

シームレスウーマン特集 Vol.4 【番外編】
大手米国コンサルティング会社勤務
Katie Wheelerさん





米国人配偶者の海外赴任先の
アジア(台湾・東京)で2度の出産。
軽やかに子育てと仕事を両立。





米国・ジョージア州出身のKatieさん。新卒で入った米国コンサルティング会社、アクセンチュアで、10年以上のキャリアを持ち、2014年、配偶者の海外赴任で台湾に住まいを移すも、退職することなく、子育てと両立。配偶者の異動で昨年から日本で生活を始める。現在は、東京にいながら米国のチームと共に働き続ける。







Katieさんは、台湾で、第1子を出産し、そして日本で出産した第2子は生後7ヶ月に。その間、数か月の産休をはさみながらも、継続してコンサルティング業務に従事しています。


Q. ご主人の台湾駐在が決まった時、まずなにを考えた?
会社を辞めずに、自分のキャリアを継続していくことを考えました。上司に相談し、台湾でも仕事ができる環境を整えました。台北では、自宅勤務と顧客側での仕事の両方。顧客は、中国のテクノロジー関係の会社だったので、定期的に中国に出張していました。


Q. お子さんが1歳になった時に、台湾から中国の顧客に出向き、1週間近い出張を定期的にはじめたとのこと。不安はなかった?お子さんと離れて寂しくなかった?
もちろん、不安な時もあったけれど、信頼できるベビーシッターと、夫が面倒をみてくれていたのでなんとか乗り切れました。もちろん毎朝スカイプしていたけれどね。


Q. 今、東京でのワーキングスタイルは
米国(西海岸)の午後にあたる、日本の早朝から昼近くまで、まとまって仕事。そして、米国の夕方にあたる日本の夜8時から10時くらいまで再度仕事。全体で18時間勤務をキープしています。台湾での2年の経験を基に、今は、直接顧客を担当するのではなく、営業部門を支援する仕事に携わっています。この仕事は、基本的に自宅で全業務を遂行できるもので、台湾での経験を経て、自分なりに模索した結果、このポジションにたどり着きました。


Q. 平日、息子さんたちはどうしているの?
2歳半になる上の息子は、プレスクールに通っています。朝、夫が送ってくれ、私が、夕方迎えに行きます。7ヶ月になる下の息子は、午前中は自宅でベビーシッターが、そして午後は私が世話をしています。


Q. すごい。パーフェクトね。
うまくいけばね(笑)。もちろんうまくいかない時もあるわ。朝、米国のチームとネットで会議している時、プレスクールに行く準備中の息子のイヤイヤを夫がなだめてるその横で、下の息子がなき叫んだりしているから(笑)。


Q. 海外だと、信頼できるベビーシッターを見つけるのでさえ大変なことよね?
確かに、子供のいる家庭では、問題のひとつになりうるわね。私は幸運にも、台北で評判のいいフィリピン人のベビーシッターと出会えたので、東京に一緒に来てもらいました。


Q. ベビーシッターも一緒に引っ越し?!書類上とても大変じゃなかった?
全然。アメリカ大使館がサポートしてくれたからまったく問題なかった。それよりも心配したのは、中国語も話せ、台北ですでに10年近く生活をしていた彼女が日本の生活に慣れるかどうかだったの。でも、もう今は、日本語も少しずつ学んで、東京での生活を楽しんでいる様子、ほっとしているわ。


Q. 第2子妊娠中に台北から東京に引っ越しして、他に大変だったことは?
特になかったかしら(笑)。


Q. 海外で生活することをどうとらえている?
私や子供達にとって、アジアの文化に触れられることは素晴らしい経験。多様な文化や言語を学ぶチャンスになるし、ポジティブにとらえている。将来的には、仕事でヨーロッパや中南米で生活することにも興味があるの。



Q. 配偶者の海外赴任先で、育児とフルタイムの仕事を両立するのってものすごくエネルギーが必要だと思いますが、仕事はあなたにとってどんな位置づけなの?

私は、自分が携わる仕事に対して6つの側面から分析するとともに、常に自分にとっての優先順位を整理しているの。

- 「会社」働く会社の企業文化、そして社会的な評価が自分の価値観とマッチしているか
- 「業務」自分が日々携わる業務内容
- 「人」上司、同僚、部下など、共に働く仲間
- 「新しい機会」自分に与えられる学びや成長の機会、そして昇格
- 「報酬」給与、ボーナス、評価
- 「ワークライフバランス」

でも、今は、フレキシブルに考えていて。毎晩、家族と過ごす時間はとても大切で、昇格や、報酬、日々携わる業務について、あまり思い悩まないようにしてる。そして、家庭内で、子供の世話をしてくれるベビーシッターや、家事をしてくれるお手伝いさんがいてくれるからこそ、私は仕事を続けられていると思う。


Q. 日本だと、配偶者の海外赴任で、自分のキャリアや仕事を諦めたり、悩む女性が少なくないけれど、米国ではどう?
米国では、日本に比べ、より対等な夫婦関係を追求しているように思う。ただ、やはり、現状は配偶者のキャリアアップのしわ寄せを受けるのは、女性の方ね。米国人女性とて、私のように、配偶者の転勤で住む異国で、フルタイムの仕事に従事する人は少ないわ。私の場合はラッキーだったと思う。世界中に拠点*をもつグローバルな会社に勤めているということ、築いてきた業績や、自分に対する評価、社内での人脈等が生きていると思う。あとは、理解のある夫。これは必須ね。

*拠点数は世界55ヶ国200都市以上(アクセンチュアホームページより)

Q. 海外赴任にまつわる問題についてどう思う?
女性は何が、どう整備されるべきなのかを主張していくことが大切だと思う。もしも働き続けたかったら、それを理解してもらう必要があるわよね。どんな上司だって、リクエストされなければ、完璧な仕事は渡せないのと同じ。だから、会社や上司に、家でできる仕事がほしいと言わないことには、そういう働き方をするチャンスすらも与えられない。そして、家庭の中では、夫婦間できちんとした話し合いが必要だと思う。例えば、私は、この5年間は配偶者(夫)のキャリアのためにアジアに来たけれど、次の5年は私のキャリアを優先させてヨーロッパへ、みたいにね。男女が交互にキャリアを優先できるような環境になっていけばいいと思う。


Q. 数年後はまず米国に戻る予定だと。次にチャレンジしてみたいことは?
今私は、夫の駐在で、アジアで過ごしているけど、その間、子育てだけでなく、自分のキャリアをその環境で全うしてきたから、次は、私の海外赴任で、家族全員で別の国で過ごしてみるのもひとつの選択肢ね。自分の両親や兄弟と遠くになってしまう以外は、海外赴任で国外に住むことはとても得難い経験だと思っているの。でも、まず戻ったら、すっかり浦島太郎になっているので、米国の最新のマーケットをキャッチアップすることが必要だわ。


Q. 就職してまもないころ、初めての海外出張が日本だったというKatieさん。最後、率直に日本に感じることは?
官僚的であること、意思決定プロセスに時間がかかっていて損をしている点があると感じます。中国と比べると、内向きなところも残念だわ。でも、安全な国であることは本当に素晴らしい!


愛する息子たちとの団らんのひととき


【プロフィール】
大卒後、すぐにアクセンチュアに入社。10年近くIT系のコンサルタントとして従事。初の海外出張は東京だったという不思議なご縁が。2014年に配偶者のアジア地域赴任に帯同しながらも、仕事は退職することなく継続。家族は、夫と2歳半と7ヶ月の息子が2人。

【海外歴】
台湾・台北 2014年~2016年  (配偶者に帯同)
日本・東京 2016年~
現在     (配偶者に帯同)


【インタビュー後記】
今まで、日本人駐在員の帯同家族にインタビューしてきましたが、今回は日本に居住する、米国からの海外赴任者の帯同家族という番外編。
平日は、真面目で勤勉なKatieですが、休日は、家族でアクティブに旅行や日本文化理解のためのイベントへ参加したり非常にパワフルな女性。子育ても、仕事も、と完璧なようにみえますが、彼女の中では、家庭とのバランスをとる一方、業務や昇格などの比重を軽めにしている部分があるのでは。きっと、米国に戻ったらその分更に仕事に熱意をもって取り組むのでしょう。また、仕事に対しての彼女の分析は興味深く、今、自分の生活を整理してみることは、誰にとっても有益なこと。ちなみに、筆者のブラジル生活での必須5項目は、「健康と安全」「家族」「共に価値観をわかちあえる友人」「情熱を注ぐことのできる活動」「お金」でした。が、生活環境や、ライフスタイルの変化に伴い、常にアップデートしていく必要性を実感しています。

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