2018年5月15日火曜日

日本ブラジル中央協会 ブラジル特報5月号
鈴木由美さん

5月号の「ウーマンズアイ」にてセミナーの主催メンバーとして中心的な活動をされてきた鈴木由美さんの記事が掲載されましたのでご紹介いたします。日本に帰国した駐在員家族からは、ブラジルから日本に戻り、ゼロから生活を立ち上げるのもまた孤独な作業だったが、これを読んでとても勇気づけられたと賛同の声を多数いただきました。(以下全文)
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点と点が繋がるブラジルでの時間

鈴木由美 
(元ブラジル在住 12 年)

12 年ぶりの日本の春、ようやく 1 年になる新居のベラン ダから満開の桜の美しさを楽しむため、ウッドパネルをベラ ンダに敷いてみた。我が家の 3 歳児と一緒に楽しめるように と選んだのは、滑らかで素足でも歩けるという天然木材。見ればなんとブラジルのマットグロッソ州産だった。単なる偶 然なのだが、その意外性が何とも嬉しく、愛すべきブラジル と繋がっていたいという気持ちを再確認した。 ブラジルで 10 年、現地のマーケティングマネージャーと して日本企業の販社の立ち上げから関わり、そして MBA 取得、出産、育児を経験したが、既によそ者になってしまった この日本で、どう新しい人生の絵を描けるのか。帰国し、生 活基盤の変化に対応することは、価値観の異なる空間へ飛び 込んだようでもあり、想像以上に容易ではなかった。 日常の移動手段であった車は、日本では、電動自転車に代 わり、息子の保育園への送り迎えや、買い物にと東奔西走する。家事の手助けしてくれたお手伝いさんはいなく、自身の 家事力なさを痛感し、最新の家電が右腕となった。極めつけ は、日本の季節の移り変わりに、衣替えどころか、家電替えもしなくてはならない事。ただ一方で、子供や高齢者の為の 優先レーンがスーパーや銀行などにはなく、それを快く明る く手助けてくれるブラジル人はいない。沢山の利便性はありながら、なぜか孤立してしまいそうな日本と感じた。 すっかり浦島太郎になった私が、手探りで日本の生活を立 ち上げていく、原動力の一つになった活動があった。これから渡伯し、現地の生活に慣れていくのも一筋縄でいかないと いう経験から、渡伯前の駐在員帯同家族(夫人)に現地情報 を伝える活動を友人が始めたのだ。私はこの「シームレスウーマンプロジェクト」が企画する活動を通し、現地の情報を伝 える事で、幸いにも貴重な時間を過ごしたブラジルの良さや 生活を、この日本でも身近に感じ続けている。 ブラジルには切れない縁があり、もはや自分と一体化して いる。無我夢中に過ごした時間がくれた数々の出会いは点と なり、それが今少しづつ繋がり、自分が目指す線になろうとしている。
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日本ブラジル中央協会 ブラジル特報5月号より転載
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